私たちは毎日の暮らしの中で、無意識のうちに何度も「座る」という行為を繰り返しています。食事をする時、仕事をする時、誰かと話す時、くつろぐ時。様々なシーンで座るということについて考えてみたいと思います。
日本の暮らしと「床に座る文化」
日本人は伝統的な和室文化により床に座る風習があります。

畳に座る、あぐらをかく、正座をする、寝転ぶ等、椅子とは違い、姿勢が自由で身体と床の距離が近い。これは単なる生活様式ではなく、空間スケールそのものにも影響してきます。低い目線の暮らしは、落ち着き、安心感、余白を生みだします。
以前某建築家さんのモデルを見学に行かせて頂いた際、「座った時にどのように見えるか」という事を言われていました。その場にあったソファに座った時、その座った時に視界に入るもの、身体の体勢、手やお尻に触れる座面のやわらかさ、肌触り等が「くつろぎ」や「心地よさ」の発見がありました。
座る場所を設計するということ
住まいの計画を考える時、間取りだけではなく、どこに座るのか、どこで過ごすのか、座った時に見える景色はどうなのか。座ることで、視点が一旦とまります。その視線の先を考えることは暮らしの質を考える上でとても大切だと思います。

例えば窓辺に座る場所があるだけで朝の時間が変わります。
キッチンの近くに腰かけられる場所があるだけで会話が増えます。
庭を眺める椅子があるだけで、季節が暮らしの中に入ってきます。
座る場所は、暮らしの質を高める場所でもあり、その居場所の積み重ねが心地よい住まいをつくってきます。
下呂のモデルではスキップフロアによって、空間の変化を生みだし、窓辺~リビング~階段にかけて様々な居場所をつくっています。住まいの中でもお気に入りの場所があれば、きっと暮らしの中に豊かさや、心地よさが生まれるのではないでしょうか。
旅先で「くつろぐ」場所
また、今回旅館の改修工事で私自身初めてオーダーソファを設計させて頂きました。

窓辺に近い位置で座面の奥行は深めにし、背もたれを外せば720mmありごろんと寝転がれるようにもしました。背もたれは円柱状にし、腰の位置を支点に背もたれとして、また少し伸ばしたりと、上半身の体勢を自由に動かしやすくしてみました。座面の高さを380mmと少し低めにすることで、くつろぎやすく旅館での時間をゆっくり過ごしてもらえるように考えてみました。
「座る」という事も意識してみると、奥が深いものですね。
2026年4月から旅館がリニューアルオープンします。是非一度足をお運びください。
次回は座る事に関連して、弊社の提携している家具屋さんの家具についてお伝えしたいと思います。
代表取締役 一木