こんにちは。
愛知・岐阜で注文住宅とリフォームを手がける工務店、丸共建設株式会社の広報スタッフです。
2026年9月、筑波大学の柳沢正史教授が、アメリカの医学界で権威ある「アルバート・ラスカー基礎医学研究賞」を受賞されました。
柳沢教授は、脳内で覚醒の維持に重要な働きをする「オレキシン」を発見した、世界的な睡眠研究者です。今回は、スタンフォード大学のエマニュエル・ミニョー教授とともに受賞されました。
受賞をきっかけに、柳沢教授のご自宅を紹介するYouTube動画を見ました。
そこで目に留まったのが、リビングの照明です。
天井に、照明器具が見当たりません。
昼間の映像では、大きな窓の向こうに植栽が見え、自然光が差し込む開放的な空間が印象的でした。

窓の向こうに緑が見える、心地よさそうな空間です。
一方、夜の室内を照らしているのは、暖色系の柔らかな光。

梁の見える天井や壁、家具に光が広がり、空間にはほどよい陰影が生まれています。
天井の中央から部屋全体を照らすのとは違い、落ち着いた雰囲気がとても心地よさそうでした。
「部屋を明るくする」だけでなく、「夜を心地よく過ごすために、光をどう配置するか」。
今回は、柳沢教授のご自宅をきっかけに、照明の配置や光の選び方について考えてみます。
「明るい家」なら、心地よいのでしょうか?
日本の住宅では、天井の中央にシーリングライトを設置し、部屋全体を均一に照らす方法がよく使われます。
食事や掃除、物を探すときにも便利で、暮らしに欠かせない明かりです。
一方で、夜のくつろぎの時間に部屋の隅々まで明るくする必要があるのでしょうか。
睡眠と光の関係では、就寝前の強い光を控えることが大切とされています。
眠る直前だけでなく、夜の過ごし方に合わせて照明を少しずつ落としていく。そんな工夫も、心地よい住まいづくりにつながります。
イメージするのは、雰囲気のよいレストランのような、少し落ち着いた明るさです。
昼間と同じように部屋全体を明るくするのではなく、夜は夜に合った光で過ごしてみるのです。
天井を照らす。壁を照らす。光の当て方を変える
柳沢教授のご自宅で印象に残ったのは、照明器具そのものよりも、光の当て方でした。
天井から下向きに光を落とすのではなく、壁や天井に光を当て、反射した光で空間を照らす。
こうした間接照明は、光源が直接目に入りにくく、柔らかな印象をつくりやすいのが特徴です。
壁や天井に光が広がることで、部屋の隅や家具にも陰影が生まれます。
木の梁や壁も、光の当たり方によって表情が変わります。
例えば、こんな照明の取り入れ方があります。
- ブラケットライト:壁面を照らし、空間に奥行きをつくる
- アッパーライト:天井に光を当て、柔らかな明るさを広げる
- 間接照明:家具の背面や造作カウンターなどに光を仕込む
- フロアライト:部屋の隅や壁際に置き、落ち着いた雰囲気をつくる
- 手元灯:読書や作業など、必要な場所をしっかり照らす
大切なのは、照明の数を増やすことではありません。
「部屋全体を明るくする」から、「必要な場所に光を置く」へ。
光の向きや高さを変えるだけでも、いつもの部屋の印象は変わります。
一室一灯から、一室多灯へ
照明を考えるときは、ひとつの部屋に複数の明かりを設け、それぞれに役割を持たせる方法もあります。
例えば、リビング・ダイニングなら、
昼間は、窓から入る自然光。
夕食のときは、テーブルを照らすペンダントライト。
くつろぐときは、壁や天井を照らす間接照明。
本を読むときは、手元のスタンドライト。
時間帯や過ごし方に合わせて、使う照明を変えるのです。
こうすることで、ひとつの部屋でも、明るさや雰囲気を切り替えられます。
新築時には、照明器具の位置だけでなく、スイッチの位置や回路を分けることも大切です。
「どこに照明を付けるか」だけでなく、
「誰が、いつ、どこで、何をして過ごすのか」
そこまで考えておくと、暮らし始めてからの使いやすさにもつながります。
我が家の夜は、ペンダントライト3灯
ここからは、私自身の家の話です。
我が家の小さなリビング・ダイニングには、ペンダントライトが3灯。40Wのハーフミラー電球を使っています。

光源が直接目に入りにくく、落ち着いた雰囲気をつくりたいときにも活用できます。
「それだけで暗くないの?」と思われるかもしれません。
でも食事をしたり、テレビを見たり、家族と話をしたり。普段の夜の暮らしで、不自由を感じたことはほとんどありません。
部屋の隅々まで照らすのではなく、必要なところに光がある。
それだけで、夜の空間は十分に心地よく感じられます。
もちろん、夜に掃除や細かな作業をするときには、別の明かりが必要になります。
普段のくつろぎの明かりと、必要なときに使う明かりを分けておく。これも、照明計画のひとつの考え方だと思います。
私の場合、明るさが必要な作業は、できるだけ昼間に済ませるようになりました。
夜は、くつろぐための明かりを中心にする。
暮らし方が変わると、必要な照明も変わってくるのだと感じています。
自然光に近いLEDという選択肢

もうひとつ、私が照明を選ぶときに気になっているのが、太陽光に近い光を目指したLEDです。
同じ白い光に見えても、光に含まれる波長の構成は照明によって異なります。
また、照明の下で木や布、料理などがどれだけ自然な色に見えるかも、光によって変わります。
こうした色の見え方を評価する指標のひとつが「演色性」です。
演色性の高い照明は、一般に、物の色を自然に見せることに適しています。
さらに、太陽光に近いスペクトルを目指したLEDも登場しています。
太陽光に近いLEDについては、こちらの記事も参考になります。
自然光に近いスペクトルや高い演色性は、優れた特徴だと思います。
一方で、睡眠を考えるときには、光の明るさや色、浴びる時間帯なども関係します。
日中は自然光を取り入れ、夜は照明を落としていく。
そのうえで、用途に合った光を選ぶことが大切なのだと思います。
こんな照明もあります。暮らしを彩る光の工夫
ここまで紹介したような考え方は、特別な照明計画をしなければ実現できないものではありません。
デザインや光の特徴に注目して、暮らしに取り入れやすい照明を探してみるのも楽しいものです。
LYKKE「Cloud on canvas ペンダントライト」
雲をモチーフにした、印象的なデザインのペンダントライト。

光源を器具の下部に配置し、シェードに反射させることで、柔らかな光を広げる設計です。
自然光に近いスペクトルを目指したLED「Sunlike」を採用。演色評価数(CRI)は97で、物の色を自然に見せることにもこだわっています。
デザインの美しさだけでなく、光の広がり方にも注目したい一灯です。
▶︎ 公式サイト
https://lykke-products.jp/cloud-on-canvas-pendant-light/
lipro「太陽光スリープライト」

寝室やベッドサイドなど、就寝前の時間に使いやすい小型のライト。
電球色の柔らかな光で、明るさを調整できるのが特徴です。
ベッドサイドやくつろぎたい場所に置いて、夜の明かりを少し落として過ごしたいときにも取り入れやすそうです。
▶︎ 公式サイト
https://jp.lipro.com/ja-jp/products/sleep-light-ja
照明は、デザインだけでなく、どこを照らすのか、どのくらいの明るさが必要なのかを考えて選ぶことも大切です。
今ある家でも、できることがあります
「もう家が建っているから、照明は変えられない」
そう思う方も、まずは身近なところから試してみてはいかがでしょうか。
例えば、夜のくつろぎの時間に、天井の照明を少し落としてみる。
部屋の隅にスタンドライトを置き、壁や天井に向けて光を当ててみる。
寝る前は、必要な場所だけを照らしてみる。
大がかりな工事をしなくても、照明の使い方を変えるだけで、部屋の雰囲気は変わります。
ただし、暗くしすぎると足元が見えにくくなることもあります。移動する場所や階段など、安全のために必要な明るさは確保しておきましょう。
まずは、夜のリビングで照明をひとつ消してみるところから。
いつもより少し落ち着いた明るさが、心地よく感じられるかもしれません。
家づくりでは「昼の家」と「夜の家」を考える


家づくりでは、間取りや収納、キッチン、断熱性能など、さまざまなことを考えます。
その中で、照明はどこまで真剣に選ばれているでしょうか。
朝、どこから光が入るか。
昼間、自然光をどう取り入れるか。
夕方、どの照明をつけるか。
夜、どこを照らし、どこを暗くするか。
そこまで考えることで、住まいの心地よさは変わってくるのではないでしょうか。
柳沢教授のご自宅を見て私が感じたのは、照明をたくさん設置することよりも、夜の暮らしに合わせて、必要な場所に必要な光を置くことの大切さでした。
照明は、ただ部屋を明るくするためだけのものではありません。
一日の終わりを心地よく過ごすための、住まいの工夫のひとつです。
これから家を建てる方も、今のお住まいで照明を見直してみたい方も。
まずは、夜の明かりをひとつ変えるところから始めてみてはいかがでしょうか。

著者:オルガ・トカルチュク
白水社
今回の記事を書きながら、改めて手に取りたくなったのが、オルガ・トカルチュク著『昼の家、夜の家』(白水社)です。
昼と夜、それぞれの時間の過ごし方や、住まいのあり方について考えるきっかけをくれる一冊です。