こんにちは。工務の細江です。
建物を建築するときには耐震性向上の為にさまざまな金物を使用し補強されております。ただし金物のみで強度が保たれているわけではありません。金物や釘が無い大昔は木材同士でしっかり組まないといけない為、さまざまな接合方法が生み出されてきました。今回は基本的な組み方の一部をご紹介したいと思います。
ホゾ差し
突起している部分をホゾと言い、ホゾ穴に差し込んで接合します。ホゾ差しにすることにより、抜けにくさや上下左右のズレ防止に期待ができます。ホゾの形状も色々あり一つ一つに名前が付いております。


蟻(アリ)掛け・蟻(アリ)継ぎ
蟻ホゾと蟻穴を作り、つなぎ合わせる方法です。ハの字にすることにより引き抜きの力に対して強くなります。ホゾの形状が蟻の頭や蟻の牙に似ていることが由来でこのような名称となっております。



こちらの写真は『兜蟻掛け』という接合方法です。梁が落ちない組み方となっております。木口の形状が兜のように見えることから兜蟻掛けと呼ばれています。
鎌継ぎ
『鎌継ぎ』という名称は蛇の鎌首に似ていることが由来と言われております。ひねり・ねじれといった曲がり防止に強く、蟻継ぎよりも引っ張る力に優れた継ぎ手となります。




大工の技や道具には、身近な生き物や場所の名称が由来となっているものがあります。昔は読み書きできないくらいの年齢の子供が親方に弟子入りしていた為、誰もが知っているもので例えて覚えやすくしたのではないかと言われております。先人が作り上げてきた技術が現在の建築においても基本となっていることを考えると改めて木造住宅の奥深さを感じます。
現場監督 細江