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家づくりのことリフォームの現場から暮らし・地域のこと

リビングと階段と子供の学習

2026.05.08

こんにちは。丸共建設の広報スタッフです。

リフォームの現場では、水回りのご相談はもちろんですが、「終の棲家を居心地よくしたい」という健康への配慮や、お子様の成長に合わせた変化への対応など、さまざまなご相談をいただきます。

今回は、そんな家づくりの現場で時々話題にのぼる、お子様の成長と家づくりについて、なかでも「子供の学習環境」と「リビング階段」について、私なりに日頃考えていることを少しお話ししようと思います

最初にお伝えしておきますが、私は教育の専門家ではありません。ただ、私の学生時代の友人たちの中には、子供のからの大きな夢を叶えた「つわもの」たちが何人かいます。彼らの家の学習環境はどんな感じだっただろうか?と、ふと思い返してみると……明るく広いリビングで学習していた友人は、一人もいなかったことに気づいたのでした。(時代のせいもあるかもしれませんね。)

「気配」は感じるけれど、落ち着ける場所

友人たちの家には、子供部屋の有無にかかわらず「独立した勉強スペース」があったと記憶しています。

それはリビングの中ではなく、リビングの近くや、廊下の端、リビングから少しはずれた作業部屋のような場所です。

家族の気配は感じるけれど、ちょっと薄暗く、静かで、図書館のように落ち着ける場所。大きな机と、たくさんの本。そんな環境が、彼らの集中力を支えていたのかもしれません。

リビング階段は「絆」を深めるのか?

さて、話を「リビング階段」に。

「子供がリビングを通らないと2階へ上がれない」という動線は、コミュニケーション活性化のメリットとして非常に人気があります。この30年で「当たり前」の選択肢となり、今や新築される方の約57%が採用しているという調査もあります。

しかし一方で、興味深いデータもあります。

ある調査によれば、親子のふれあい時間は2012年と比較して、平日で約40分、休日で約70分も減少しているというのです。親子の会話時間は平日・休日ともに減少傾向にあり、特に休日は父母ともに20分以上短くなっています。リビング階段が増えたからといって、会話時間や接触時間に改善が見られるとは限らないのが現実のようです。

リビング階段は、家族の絆を作るために「強制的に顔を合わせる仕組み」でもあります。これは、思春期のお子様にとっては特に「監視」と感じられる場合もあり、少し注意が必要だと私は考えています。

本来、住まいとは「居心地よく安心できる場所」であるはず。

間取りによる強制ではなく、空間そのものの魅力によって、自然と家族が集まってくる。そんな居心地の良さが、何より大切なのではないでしょうか。

「評価されるストレス」とワーキングメモリ

次に、リビング学習について。

子供とコミュニケーションがとりやすく、親の目が届くというメリットの裏側には、どうしても「監視」という側面が含まれてしまいます。

脳科学の分野では、親が近くでノートを覗き込んだりする環境では、脳は「評価されるストレス」への対処にリソースを割いてしまい、本来の学習に必要な「ワーキングメモリ(脳の作業机)」を最大20%損なう、というデータも紹介されています。

「こっちを見ている?」「ため息つかれた?」「怒られる?」

そんな風に親の顔色を伺ってしまうノイズが、脳の一部を占拠してしまうのです。

これは、リビング学習そのものの否定ではありません。

大切なのは「親の関わり方」です。

ノートを覗き込むのではなく、親は同じ空間で自分の仕事をしながら、子が困った時だけサポートする。

「気配は感じるけれど、視線は合わない」環境こそが、学習効率を最大限に高めてくれるのだと思います。

リフォームでできる、ストレスのない環境づくり

もしリフォームで学習環境を整えるなら、鍵は「視線のコントロール」と「程よい距離」の両立です。

  • 「相互監視」にならない角度
    親とお互いの顔が直接見えない(視線がぶつからない)ことが重要です。「手元」は見えないけれど「気配」はわかる。さらに、親の動線が背中を横切らない配置を考えます。例えば、親の動線・視線が子どもの背中を横切らない「部屋の隅(デッドスペース)」に配置すると、背後の不安が消えます。
  • 心理的境界線を作る
    オープンすぎる空間は、常に「見られている」という感覚を消せません。デスク横に30cmほどでも良いので「縦の壁」を設けたり、床の高さを変える「小上がり」を作ったりします。これだけで、脳は「ここは別の場所だ」と認識し、リビングの喧騒から心理的に切り離され、集中しやすくなります。
  • 縁側の活用
    昔ながらの家の「縁側」を学習スペースにするのは、実は脳科学的に「理想形」に近い選択です。縁側は行き止まり、あるいは家の端にあるため、壁や庭を向いて座れば、「背後を親が頻繁に通る」というストレスも構造上発生しません。障子や襖があれば、音は聞こえるけれど姿は見えないという、最高のコントロール機能を果たしてくれます。
  • 1畳だけの半個室(ヌック)
    間取りに余裕がある場合、完全に閉鎖はせず、リビングの一部でありながら、三方を壁や棚に囲まれた「ヌック」を作るのも正解です。これなら「親の気配による安心感」と「視線からの解放」を両立でき、ワーキングメモリの損失を防げます。

このように、「親が普段座る場所」と「学習コーナー」の位置関係を考慮して、「気配」と「視線」を絶妙に分離させることが、落ち着いて学習できるスペースづくりには有効です。

おわりに

結局のところ、リビング階段や学習スペースの形が、親子関係の満足度に直結するわけではありません。最も大切なのは、そのご家族なりの「在り方」です。
形から入るのも一つの方法ですが、もし採用されるなら、そこに「安心感」を得られるひと工夫を。
この記事が、皆さまの家づくりのヒントになれば幸いです。

【参考資料】

  • シチズン時計株式会社「親子のふれあい時間調査」(2025年)
  • ロバート・ザイアンス「社会的促進・抑制理論」
  • ワーキングメモリと学習環境に関する最新の脳科学知見(菅原道仁氏らの解説に基づく)

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