こんにちは、代表の一木です。最近古民家改修のお話を頂くことが多く、「実家の古民家の改修を行いたい」や「古民家ならではの味わいを残してお店を始めたい」など、新しくは作れない古民家ならではの味わいの魅力がまだまだお話しとして頂きます。
そんな中でお客様もどこまで「安全な住まい」にしたら良いか悩むことも多いのではないかと思います。各地域でも耐震診断・改修の補助金も出ているかと思いますが、補助金の枠、基準等各地域によって若干違いがあると思います。当然、建物全体の耐震改修となると建物の規模、築年数によって工事にかかる費用も大きく変わってきます。そこで、お客様の一番の要望である生活スタイルを改善する、リフォーム・リノベーションをする際に耐震をどのように考えたら良いか。今回は一つの判断基準をお伝えしたいと思います。
1⃣予算別に耐震補強を考える
考え方としては予算、補強範囲、上部構造評点、どんな性能か4つのパターンに分けたいと思います。
①住み続ける性能(予算☆☆☆☆)
こちらは、計画の費用が耐震工事に十分かけられる場合です。改修工事をする住まいの状態も比較的良い状態で、基礎、構造等の劣化が少ない場合はこちらの工事がおすすめです。建物の状態は基準法の耐震各自治体毎で耐震診断~耐震改修費用まで補助金がでており、下呂市では耐震改修工事で最大160万円、春日井市では最大100万円がの補助が出ます。スケジュール、条件等を確認した上でうまく補助金を利用できるような計画で進められれば出費も抑えられますね。
②命を守る性能(予算☆☆☆)
こちらは、建物全体まで耐震に充てる費用が無く、部分的に耐震改修を行いたい場合になります。地震が起きた際には平屋部分よりも、2階部分の1階の方が危険性は高い為、2階がある区画を重点的に耐震改修工事をする方が効果があります。また、建物全体のバランスもありますが、当然剛性を高める方が建物が固定されますので、構造壁をどのように入れるかを計画した上で筋交いを配置しましょう。
③命を守る性能(予算☆☆)
こちらは耐震改修工事まで費用をかけられない場合です、2階の真下の部屋をシェルター化し、万が一2階部分が落ちてきても命だけは守れるような状態となります。防災用品など、地震が起きた際万が一逃げる時にどこに置いておくのが良いか迷われることもあると思います。その時はシェルター内であれば、2階に押しつぶされる事もない為、保管場所としても安心ですよね。耐震シェルターは各自治体での補助金もあり、工事自体も弊社でも取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。
④命を守る性能(予算☆)
こちらは、建物の改修や、シェルターにもかける費用が無い場合です。2階に大きな家具や、重い荷物、普段使わない大きな物等を空き部屋に置いておく事も多々あるかと思います。その不要物を捨てることで、積載荷重の低減が図れ、2階の揺れを小さくすることができます。また、1階の居室等には丈夫な家具で2階が落ちてきた際に支える役割を担ってくれます。学校でも地震の避難訓練の時は机の下に隠れることを教わりましたよね。まさにこの考えで、天井が落ちてきても家具の下に生存空間ができるので、他の場所よりは安全な場所となります。
2⃣自宅が完成したのはどの時期か?
リフォーム・リノベーション等の計画を考える時は、当時建てた図面が残っていれば多少参考にもなりますが、古い住まいや、おじいさんがいる時に建てた等、住まいが古いと当時の契約書や、図面が出てこない事もよくあります。また、昔の図面は今ほど細かい記載もされていない事もあります。そんな時は建物の登記情報を確認することで、完成した時期がおおよそ推測がつくと思います。そこで上の図を確認すると、昭和56年に建築基準法が改正され、新耐震基準ができました。この基準では、昭和56年以前の建物と比べると、現在の壁量計算・壁倍率の考えが加えられ、劣化に問題がなければ一応は安全と考えられるようになりました。
今のお住まいは、どの時期に建築されたかで住まいの耐震性能の程度も変わってきます。今回説明をさせてもらった4つの考え方のどの考え方が良いかはあくまでもひとつの目安です。今の住まいで、2階にある荷物が建物の重みになっていないか、また家具が転倒しないか、等身近な所から対策をすることも大切だと思います。リフォーム、リノベ―ション等の具体的な計画は信頼できる専門家と相談されされることが大切だと思います。その上で住まいの状態をしっかり調査し、耐震の対策を行い、お客様がより安心できる暮らしを提供できることが大切ですね。